2012年6月27日水曜日

Anthrocon 2012を振り返って



Anthrocon 2012を振り返って

世界最大のケモノイベントを追う


Anthrocon 2012


Anthroconの旗


Anthrocon(またはアンソロコン、アンスロコン)。それはアメリカ合衆国、ペンシルバニア州ピッツバーグで行われる世界で最大・最高のケモノ系総合イベントである。6月中旬に行われるこのイベントは、4~5日間ホテルやイベント会場を貸し切り、ぶっ続けで行われる。
既に多くの人々がそのイベント内容を残していると思うが、改めてここにイベントの概要と「2012年」が如何に他の年のAnthroconと違っていたかを小レポートの形で記したい。 Anthrocon自体はペンシルバニア州のNPO法人で、このイベントを束ねるのが大の日本好きであるサミュエル・コンウェイ博士=アンクル・カゲである。彼はこのイベントの最高責任者であり、イベントのマスコット的(?)存在でもあり、良き理解者・良きストーリーテラーでもあり、同時に化学分野で博士号を得た博士でもある。アンクル・カゲの名前は黒澤明監督の「影武者」より来ており(彼のHNは「カゲムシ・ゴロー」という)日本文化に対する造詣の深さが窺い知れる。


今までで最高のイベント

今年のAnthroconは例年に類を見ないほどの盛り上がりを見せた。 その盛り上がりようと言ったら、今この文章を読んでいる読者に申し訳無くなってしまうほどだ。もう今後二度と、2012年のAnthroconのように日本とアメリカが密に互いを影響しあう年などないのではないのではないだろうかと思ってしまうのもやむを得ない。(ただし、その予想は―嬉しいことに―毎年裏切られているので、ひょっとしたら来年はまたこれ以上の盛り上がりを見せるのかもしれない。現状それを想像するのはとても難しいが。) 今年のAnthroconは日本の影響がとても大きかった。ぱっと上げるだけで
  • TV番組、「さんまのまんま」で取り上げられた
  • 多くの日本人がはるばる日本より参加した
  • 日本のアーティストが多数、アートショー・オークションに参加した
  • 特別ゲストにサーデュオンが渡米した
……といった点が挙げられる。至る所に日本人の活躍が見られ、またケモノ文化の影響も随所に見ることが出来た。ケモノとファーリーの文化が融合していくのを見るのはとても感慨深い経験であった。
イムハタ公式マスコットキャラ・偽イムハタくんも参加
常に忙しく電話を掛けるその様は正しくジャパニーズ・ビジネスマン

「さんまのまんま」よりまんまちゃん来訪

カゲさんから「『さんまのまんま』という番組を知っているか?」という内容のメールが届いたのは4月の終わり頃だった。「さんまのまんま」は明石家さんまさんが司会を務めるフジテレビのトークバラエティ番組で、なんとそのグループから撮影のオファーが来たというのだ。日本のテレビ番組からあまり芳しい噂を聞いたことは無かった上、「さんまのまんま」はトーク番組。一体どこでどのように映像が使われるか分からないので、「どのように映像が使われるかだけは、しっかり確認した方がいい」という旨だけお伝えした。結論から言うと「さんまのまんま」のマスコット、「まんまちゃん」が世界を旅するというコンセプトの小コーナーが設けられているようで、そこに使われるフーテージの撮影にピッツバーグのAnthroconが大抜擢された、と言う話だった。

皆でポーズ
まんまちゃんは会場のあちこちに出現し、しきりに「私のことを知っていますか?」と書かれた看板を見せつけていた。とある人に「カビの生えたカーペットのようなモノ」と散々に言われてはいたものの、日本からはるばるやってきた来訪者に多くの人が好意的なコンタクトをとっていた。また、Anthroconがインターナショナルなイベントであることを知らせるため一役買うことが出来たのは大きい。カゲさんも開会式・閉会式双方でこの素晴らしいゲストについて言及し、良い形でオンエアされることを望んでいた。 着ぐるみ界隈が公共の電波に流れることに抵抗を感じる人も多少はいると思うが、カゲさんはメディアの露出にかなり繊細な方なので、しっかり手を打っていることだろう。そもそもまんまちゃん自体が着ぐるみキャラなので(さんまさんの甲高い笑い声と多少の毒気はあるかもしれないにせよ)悪いようにとられることはないだろう。

ディレクターの方とも短い間ではあったものの、ちゃんと話す機会があった。どうやら日本にもこのような着ぐるみイベントがあることは知らなかったようで、好意的な興味を持っているように見受けられた。何にせよオンエアまでは判断は出来ないが、良い形でAnthroconや着ぐるみ界隈が取り上げられることを望んでいる。 放送は7月下旬から8月に放送される「さんまのまんま特別版(完全版?)」にてオンエアされる予定。詳しい情報はさんまのまんま公式ページよりどうぞ。 (ちなみに、この情報は事前にディレクターの方に了承をとっているので包み隠さず公開している。むしろ率先して拡散してもらいたいとのこと。)


2012/09 追記:
「臨時発売!さんまのまんま大全集」でAnthroconは無事にオンエアされた。
英語字幕付きでアップロードされたものを以下に引用する。


初のアジア進出ということで、動画のコメントはポジティブな反応で埋め尽くされていた。

またまた日本人来襲

去年は日本からの参加者が4人だったのに対し、今年は11名の大型グループがAnthroconに参加した。おおよそ3倍である。その上飛び入りで参加した日本人や現地で会った日本人を含めれば15,6人はいたのではないだろうか。いやはや尋常ではない。この調子で行くと来年再来年あたりには飛行機をチャーターする必要が出てくるかもしれない! 冗談はさておき、今回参加された皆さんはとても素晴らしい方々だった。後述のオークションやゲストの通訳という大仕事があったため、彼らと交流する時間をあまり割けなかったものの、皆がそれぞれ率先して動き、イベントを十二分に楽しんで頂けたようだ。特に今年は皆が人と能動的に交流しているような印象を受けた。 大所帯でレストランに赴いた時などはそのあまりにも大人数にテーブルをテラスと中とで二分してしまい、中の人達は通訳の恩恵を得ることが出来なかった。「申し訳ないなー」と思いつつ中を覗くと、なんという事はない、すっかり現地人と打ち解けてビールを奢ってもらっていた。それを見て随分と安心したものだ。
旅は出会いのひとときだ
結局のところ、Anthroconは人と交流するイベントなのである。有名か否か、技術があるかないか、そんな事は全く関係ない。ただ新しく人と話して、交流して、友達になる。それがコンベンションであり、ファーリーの懐の深い所なのだ。カゲさん曰く「私たちは違う言葉を喋るが、その根底で言語の要らない言葉を交わす。それは動物を可愛いと思う気持ちであり、それこそがこの界隈を形作っているのだ」とのこと。これは何も国や人種という大きな枠組みだけではなく、コミュニティや個人でも言えることだろう。同じ「動物を可愛い」と思う気持ちさえあれば、誰とでも友達になることは出来る筈なのだ。言葉もわからない着ぐるみとハグをして友達になっている一同を見て、ますますそう思わせられた。 また日本人として礼儀深い所もしっかりと見せ、自分としてはそれがとても嬉しかった。アメリカに来る以上、外国人はその出身国の大きな看板をその背中に掲げることになる。一挙一動は「その国の人」の一挙一動として捉えられるのである。あまり楽しいコンベンションだからといって、ハメを外すとその国が白い目で見られてしまうものだ。今回はそのようなことが自分の知る範囲ではなかったので彼らに大いに感謝したい。まあそうは言っても現地のファーリーの方がよっぽどバカなことしてるんだけどね。
パレードの様子

また来年も遊びに来てねー
それと、ケモノバーテンという大役を担ってくれたニト君にはこの場を借りて特に厚く御礼をしたい。何か飲むにしてもカゲさんのお土産用の日本酒しか無くなっていた一同が、苦心の末それを空にしなくて済んだのはニト君のお陰他ならない。彼は泥酔した状態でスーツケース一杯のリキュール類を持ち颯爽と部屋に現れ、私達に美味しいお酒を提供してくれたのだ。彼の登場がこのコンベンションをより感慨深いものにしたのは言うまでもない。どうやらそれは彼にとっても同じだったようだ。
ありがとうニトくん
毎年恒例となっている夜のお話タイムも敢行された。数日間ぶっ通しでイベントが続くAnthroconといったコンベンションでは、夜の間にお酒を飲みながら普段話せないような話をして賢哲を深めるのが常となっている。今年はケモノという文化の歴史を始めとする様々なことを別の世代、別の立ち位置から熱く語り合うことができた。気がつけば日は既に昇っており、時間の短さを改めて痛感した。(それと寝不足の辛さも。)
平均睡眠時間は3時間でした(図はイメージです)

初のオークション参加

今年は何か新しいことをしようと始めたのがこのオークションだ。Anthroconは目玉の一つとしてアートショーという作品展が開かれる。今回は特に日本より参加者を募り、代行という形でその作品を展示することになった。
これは自分の作品。こんな形で公開された。
絵は今年のテーマ、「真夏の夜の夢」より「タイタニア」を意識した。
結論から言えば、死ぬほどハードであった。荷物のやり取り、発注の確認、全員分のリストを作ってさらにボード等の準備……。正直甘く見過ぎた。Anthrocon側のサポートと、今回全てを手伝ってくれたあすたくんがいなかったら、自分はきっと途中で逃げ出していただろう。改めて感謝を述べたい。 またカゲさんも、やはりここでも骨を折ってくれた。大きな荷物は全て彼の自宅に配送し、カゲさんがそこからわざわざイベント会場まで運んでくれたのだ。まったく温情に痛み入る。その結果としてアートショーも大成功……!と言いたいのは山々なのだが、半々という結果になった。 事前のリサーチ不足か、広報不足か、はたまた単純に経済が良くないのか、作品の完成度にも関わらず、入札がなかった作品がちらほら見られた。ただしこれは他の作品でも同様だった。残念である。 結果はそこまで奮わなかったが、もう少しリサーチを重ね来年も是非参加しようと思う。リベンジである。

日本からの特別ゲスト・サーデュオン

そしてやはり、特筆すべきことといえばMike Kazaleh、Dev Madanと並び、日本から指折りの着ぐるみパフォーマー、荒ぶる毛玉ことサーデュオンさんが招かれたことであろう。ケモノイベントで、今まで国外のゲストを招聘したという話は前代未聞だ。(日本人としては2004年にスタン坂井がゲストとして招かれたことがあるが……。)そういう意味で初の国外ゲストとして大抜擢された形になった。 「サーデュオンサンを呼びたい」と言う話は実は去年の時点より持ち上がっており、2011年のAnthroconに参加した人達に興奮気味に「サーデュオンサンを知っているか!彼の大ファンだ!彼と連絡を取りたい!」と言っていたアンクル・カゲは未だに昨日のことのように思い出せる。それがどう転んでか、いつからかビデオレターに字幕をつけ、招待状を翻訳し、二人の仲介役をして、どうにかこうにか今回実現へと至った。改めて考えるとこの計画に最初から携わっていることになり、自分としては心底感無量である。 サーデュオンさんのパフォーマンスは、筆舌に尽くし難い。(それでもあえて言うならば)彼のパフォーマンスは恐ろしいほどエネルギッシュで、驚くほどに柔軟で、息を呑むほど精密で、手に汗を握るほどスリリングだ。自分はジャグリングに関しては全くのド素人だが、それでも何かとてつもない事が起きているのはひと目でわかる。またパイプ椅子を積むパフォーマンスでは自分の心臓の音が怖いほどに聞こえ、直視することも憚られるほどだった。後に(ここでは割愛するが)裏話を聞けば聞くほど更に恐ろしくなるのも特徴だ。本当にサーデュオンさんは正気ではない(褒め言葉である)。その衝撃は「万有引力の法則は日本人には通用しない」とカゲさんに言わしめたほどである。
怖い!!
いま見てもハラハラする
衝撃はAnthrocon全体を包み、既に様々な噂や賞賛がインターネットを駆け巡っている。特に「今までAnthroconに金を払うことをバカバカしく思っていたが、サーデュオンのパフォーマンスを見て意識が変わった」という意見まであるのが感慨深い。既に「来年もサーデュオンを!」と叫ぶ声が多く、個人的にも期待が高まるところだ。 特に今回はカゲさんの粋な計らいで、既に後片付けを始めているコンベンション会場を貸し切り、サーデュオンさんのパフォーマンスを目前で存分に楽しむことが出来た。カゲさん自身が撮影したサーデュオンさん屋上のパフォーマンスもほんの一握りの人しか見ることが出来なかった。その一人になれたことをとても光栄に思っている。
カゲさん当人が撮影したサーデュオンさんのパフォーマンス
サーデュオンさんを呼ぶのはカゲさんの長年の夢だったそうで、初めてサーデュオンさんのビデオを見た時から彼をいつかAnthroconのステージに呼びたいと思っていたそうだ。それはサーデュオンさんの方も一緒で、Anthroconのステージで、スタンディングオベーションに会場を沸かすという野心が彼の心に燃えていたのである。イベントが終わってカゲさんは語る:「私達二人の夢は日を同じにして叶ったのです。」
写真撮影:イムハタ

その他

転売について 物販コーナーではついに日本のケモノ系同人誌が日本価格の4倍から8倍の値段で売られていた。いつかこの日が来るだろうとは思っていたが、まさか……という印象だった。同人誌は恐らくふぁーすとやけもケで頒布されていたものだろう。作者の知らぬうちに海を渡ってきているとは……なんともはや。
今年はホールを2つ貸しきっての物販ブースであった。
悪竜は不在。
転売はもちろん悪いが、それは同時にケモノ系同人誌の需要があるという事を示す事に他ならない。コチラの人達もゆっくりと日本のケモノ文化の良さに気づき始めている。需要が高まれば供給にしがみつくのは客としては仕方かたのないことなのかもしれない。それを悲劇に思うか、チャンスだと思うかは著者次第であろう。個人的にはこれを機に海外出張を考えてもらえればな、等と微笑ましく思いながら転売ヤーを運営に報告するのであった。 参加者数と募金額 今年のAnthrocon参加者数は5,179名。内着ぐるみ参加者は1,044名だった。慈善事業である「ハロー・ブリー(ピットブルテリアの救済・救助を目的としたNPO法人)」への募金額は$20,656。毎年のことながら、史上最大のイベントとしての貫禄を示した。イベント運営の方に「ギネスブックに申請したらどう?」と提言してみたが、「ギネスブックは審査の書類が面倒くさいからダメ。多分通るけどね。誰かヤル気のある人がいれば代わりにやってもらうんだけど。」とのことである。読者の中でそういう人はいないものだろうか?
地元紙にも取り上げられる。その他メディア 1 2 3 4 5
写真撮影とパレード これもまた運営の粋な計らいで、記念撮影に際して日本人の着ぐるみ撮影スペースを前に設けて貰った。(「フェアじゃないって?地球の裏側から来てるんだからこれくらいの待遇は当然だよ」とのこと。)真ん中を飾るのは当然サーデュオンさん。その横にはまんまちゃんが陣取る。
着ぐるみの海のよう
集合写真
そして撮れたのが1,044体もの着ぐるみが写った一枚の写真だ。着ぐるみが一体$1000なら単純計算で$1,000,000(約8000万円)の写真だ!ちなみに閉会式の際印刷したものをカゲさんが高々と掲げて「$500で売ってもいいぞー!!」と大声で叫んだ。(ちなみに売れて、金額は前述のハロー・ブリーへと寄付された。)
早い者勝ちだー!
フェルナンドの今後 イベント会場の向かいには「フェルナンド」というサンドイッチ屋がある。オーナーはフェルナンドさんその人だ。フェルナンドさんはホームレスという正しく0の状態からこのサンドイッチ屋を作り上げた苦労人で、社会的弱者に対する理解も深い。この時期になると街を埋め尽くす着ぐるみをも暖かく迎え入れ、店の名前も「フェルナンド」から「ファー(毛)ナンド」にするという凝りっぷりなのである。(ちなみに今年は更に「ファーリー・ランド」という名前に変わっていた)
ちゃんと看板も書き換えてある
サンドイッチはやたらでかい。今年はお皿が餌入れに!
そんなファーリーに愛されてやまないファーナンドだが、不景気の波に揉まれ、ついには店を畳まざるを得なくなってしまった。ファーリーの皆は今年のAnthroconを目前にしてファーナンドが店を畳まなくてはいけない事を嘆き、寄付を募り始めた。募金はインターネットを駆け巡り、なんと$21,000(約170万円)が一晩で集まったのである! フェルナンドさんはそんな皆に感謝の意を伝え続けた。大きな寄付金は集まったものの、ファーナンドの負債には届かず、7月に閉店することは最早不可避であった。最後にフェルナンドさんはAnthroconの閉会式に現れ「お前たちは最高だ、ファーナンドは無くなるが、お前たちがしてくれたその温もりを俺は絶対に忘れないだろう。」と力強く語った。
カゲさんとフェルナンドさんのツーショット
最後にカゲさんがゆっくりと口を開いた。「フェルナンドはなくなる。だが、新しい建物のオーナーと話がすでについており、来年の7月、Anthrocon2013ではファーナンドが期間限定で再びオープンする」というのだ。会場は沸き、拍手はいつまでも鳴り響いていた。ファーナンドはやはり無くならないのである!

カゲさんについて

そんな訳で繰り返しになってしまうが、今回最高のイベントを過ごすことが出来たのはカゲさんの尽力による所が極めて大きい。カゲさんは本当に人徳者で、彼というカリスマがあってこそのAnthroconであることは言うまでもない。日本と関わりのあるあちこちでカゲさんは駆け巡り、サポートに徹してくれた。本当に感謝してもしきれないのである。 少しでもその御礼にと日本からおみやげを持ってきてカゲさんに手渡した。ありがたいことに日本から参加されたほぼ全員がプレゼント用の日本酒を携えてきており、カゲさんはそのボトルの一本一本を好奇の目で眺めていた。(カゲさんは大の酒好き)……まあカゲさんはその全てを一晩で空にしてしまったが! 一緒にファーナンドでした朝食は更に感慨深いものだった。カゲさんとサーデュオンさんと一緒に食べる朝食はちょっとした国際交流の体をなしていた。 「日本の着ぐるみは、何故だかよくわからないけどコチラのものよりもとても可愛らしいのだ。」カゲさんは子供っぽい目でそう語った。小さい頃はウルトラマンのハヤタ隊員の大ファンだったというカゲさんは、その無邪気さをまだ忘れていないのだろう。 イベント運営者としての話も聞かせてもらった。
「大きくしようとする・名声を得ようとするんじゃなくて、ただ現状で出来る『最高のイベント』を目指していけば、きっとそのイベントは成功する。」
「イベント参加費を上げるのは、運営者としては苦渋の決断だが、イベントをより安全に・快適にするためには避けては通れない。イベント運営者としてはそのことをちゃんと参加者に告知し、説明する義務がある。」
といった発言は世界最大のイベントを運営する者ならではだ。 最後に大きなウルトラマンのフィギュアと、科学特捜隊のバッジをプレゼントしたら大層喜んでもらえた。他にも日本の皆さんがそれぞれ持ち寄ったプレゼントを一つ一つ丁寧に受け取るカゲさんは、やはりどこか子供っぽさに溢れていた。ちなみにそれらのプレゼントは全て、カゲ邸の「宝物ディスプレイ」に静かに鎮座している、と写真付きで教えてもらった。
カゲさんご満悦
あらまあ素敵

総評

そんな訳で今年のAnthroconは今までで最も感慨深い物となった。腰の重いイムハタがこうしてブログを始めるに至るほどなのだから、その衝撃は推して知るべしだろう。常にアチラコチラへと走っていたので(しかも革靴で。フォーマルな服装は日本人を印象づけるには打って付けなのだ。)3日目を迎える頃には両足の小指の先には見事な足マメが出来ていたが、それすらもイベントを彩るスパイスにしかならなかった。
特に今回は何度か―普段硬派(笑)を気取っているイムハタだが、涙を禁じ得ないシーンもあった。最後の晩餐会でのことだ。全スタッフを前にしてカゲさんが「イムハタ君、君は日米の架け橋として最高の仕事をしている。君がどれだけ苦労しているか、私たちは知っている。その功労を評しAnthroconスタッフへの参入を認可しよう!」と言い放ち、スタッフリボンを下さったのだ!!本当に感動的だった。涙も見事にちょちょぎれてしまったのだ。

スタッフリボンは宝物だ
良くなかった点といえば―これは最早Anthroconのジンクスとして定着しつつあるが―フライトとホテルに関してである。去年はホテルの予約が一日ズレていて、それが日本組に致命的なダメージを与えたが、今年は更にその遥か上をいった。まずフライトが一日ズレていた参加者がいた。これは余分に一日ステイしてもらうことで事なきを得たが、一人ぽつんとピッツバーグに置いてきぼりにするのはやはり気が引けた。もう一つはユナイテッド航空のトラブルだ。帰りのフライトでユナイテッド航空が荷物を取り違え、結果的にサーデュオンさんが空港に取り残されてしまう結果となってしまった。しかも荷物はそのまま経由地でもないサンフランシスコに行ってしまったのである。急いで空港にヘルプに向かったものの、既に荷物はサンフランシスコへ配送された後。打てる手を尽くしてはみたが、結局お疲れの所更に9時間近く空港に缶詰にさせてしまう結果となってしまった。全く申し訳ない限りである。
と、まあ最後の最後でトラブルには見舞われたが、それ以外は本当に素晴らしい結果となった。日米の擬人化文化の架け橋の指標となったし、今後共交流は続いていくだろう。特にAnthroconがEurofurenceといったヨーロッパのケモノイベントや、MidFurといったオーストラリアのイベント、UKのファーリーとも提携をとっているのが気になった。日本のイベント運営の方々もこれを機に世界に視野を向けてみるのはいかがだろうか?
さて、来年のAnthroconは2013年7月の4日から7日に開催される。テーマは"The Fast And The Furrious"である。勿論自分も参加するつもりだ。皆さんも是非この、世界最大のケモノイベントに共に参加して日米架け橋の礎になってみるつもりはないだろうか?
パスポートの準備は出来た?
<写真提供:じーまさん、すからさん>

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